遠くに聞こえるWEB3.0の足音 〜『次世代ウェブ グーグルの次のモデル』を読んで

trackBacks (0) givenComments (0) Jan 21, 2007

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『グーグルGoogle ー既存のビジネスを破壊する』『ネットVSリアルの衝突 ー誰がウェブ2.0を制するか』など、新書を出すたびに話題をかっさらう佐々木俊尚氏の新書新刊。

本書の内容は、WEB2.0の定義の確認と日本のネット業界におけるWEB2.0的サービスの歴史と分析、そして、それを基に次の「WEB」の可能性を探る、というものだった。これから先のWEBに大きな影響を落としそうなP2Pの件については、このエントリーでは触れないとして、本書でとても興味をひかれたことが三点あった。今週中にでも読むべき本の一つである。

次世代ウェブ グーグルの次のモデル

興味をひかれた一つ目は、WEB2.0の源流が一つの何か(たとえばグーグル)に集約されるものではないということだ。世界で同時多発的に発生したと筆者は書く。日本でもちょうど同じ時期にそのようなことを考え、実行に移した人々(企業)がいたという例があげられていた。また、なぜそれらの多発的源流が「2004年のカンブリア紀」として世界的な進化を遂げたのかを、技術的な側面からも分析を加えている。改めて頭を整理することができた。

二つ目は、WEB2.0の特徴の一つとして知られている「ロングテール」という言葉が表す「アマゾン的」以外の意味。詳しくは、本書を読むことをおすすめするが、簡単に言うと「数々のロングテールをユーザーに届けるフレームを持っている」ことではなく、「自分自身(その企業やお店自身)がロングテールの一部になりうること」のことの意義についてである。

具体的には、インターネットというのは時間と場所の敷居を極めて低くするものだから、お店の商圏についてもWEB以前の常識で制限する必要はない、ということだ。たとえば、閑古鳥も鳴くのが疲れそうな地方のさびれた商店街にでも、全国の人が求めそうな商材を売っていることは少なくない。インターネットをフルに利用すれば、その需要に応じることができるのではないか。もちろんここにも障壁はある。一般に、ネットをフルに利用できる企業やお店はほんの一部に限られてしまうということだ。楽天への出店すら、何をどうやったら良いか分からない人々はまだまだ大勢いるのだと思う。逆に言えば、そういう潜在的な(企業、お店側の)ニーズをすくうサービスができれば、それは大きなITビジネスになりうるのではないか。恐らく相当地道で過酷な仕事になるとは思うけれど。

ちなみに、楽天はその意味で相当なロングテールの持ち主で、WEB2.0的だと言えそうな気もするが、それはそれでちょっと違うのでは、という分析を筆者はする。このあたりの分析もとても興味深かった。

さて、三つ目に話を移す。いわゆるSNSの本質である「人間関係」の可視化と、それに基づくメタ情報の可能性についてである。膨大なインターネットの情報から、今の自分にとって有用な「玉」をすくいとるための仕組みをどのように構築するのか。

たとえば、アマゾンでは今でも、ユーザーが買ったりチェックした商品の履歴を基に「あなたにおすすめする商品」をリストアップする。また、グーグルのパーソナライズド検索では、そのユーザーが過去検索しクリックした履歴を基に、「その人にとって」おろらく必要な情報を上位にインデックスする。最近iPOD関連について検索したユーザーが「apple」と検索すると「りんご」のappleよりも「アップルコンピューター」を上にインデックスする。

もちろんこれだけの仕組みを作ったことでも驚くべきことだけれど、筆者はそれでは完璧ではないと書く。

次世代ウェブ グーグルの次のモデル

この技術はたしかに素晴らしいが、しかしそうやって過去の履歴だけを材料に情報収集の意向を知るというのは、決して完璧ではない。(..中略..)その人が検索を実行しようとしている「瞬間の意向」をとらえられないという問題がある。

過去の履歴ではなく何がその域に近づくためのキーになるのか。それこそがソーシャル、つまり人間関係からすくいとるメタ情報なのではないか、ということだ。マイネットジャパン社長の上原氏の言葉を筆者は二度引用する。

次世代ウェブ グーグルの次のモデル

「こうした人間関係を含めてたソーシャライゼーションが、今後のWeb2.0の進展では非常に重要な意味を持ってくると思う。そして、そうした人間関係に基づいた検索行動は、マーケティングの考え方さえ根本から変えてしまう可能性があると思います」

もしx年後に、今の僕らじゃ想像もつかないくらいの情報までサーバーに上げられたとしたら、僕らはどれだけ便利になるだろう。検索エンジンは、間近に近づく友人の誕生日のプレゼントを僕らが探そうとしているのを知っている。価格帯も、さらには、その友人の趣味趣向も。

極端な話だけれど、そこまで極端でもないかもしれない。さて、それは便利さと同時に何を僕らにもたらすのだろうか。