意味の連鎖を可視化する辞書 〜オープンソースという刺激
trackBacks (0) givenComments (8) Feb 20, 2007

海外のサイトで興味深いものがあったので、メモがてらここで紹介する。その名はVisuwords。名前の通り、「word」を「Visu」する。単語の意味を可視化するわけだ。
これはPaul R. Dunn氏という方が、プリンストン大学の言語研究者と学生が作ったオープンソースの単語データベースを土台にして、ウェブの技術(ソースを読むとどうやらflashのようだ)を使い、意味の連鎖を図式化したものである(ようだ)。
たとえば、「create」「apple」をひいてみると上のようになる。英単語の広がりを直感的に把握するにはもってこいの辞書である。
Visuwordsの基本的な機能
使い方はカンタンで、サイトのトップページの検索ボックスに英単語を入力して[search]ボタンを押すだけ。少し待つとぷるぷる枝が震えながら、上の写真のような図が現れる。
それぞれの小さな円は色によって、品詞を示している。(緑は動詞で、青は名詞など。)また、連鎖する枝の色にも意味があって、緑で結ばれたものは「is a kind of」と記されている。「〜のようなものだよ」ということだろう。赤で結ばれたものは「反対の意味だよ」ということで、黄色は「〜の一種だよ」で、水色は「〜の一部分だよ」である。
たとえば、
- dessert apple(デザートに食べるりんご)は、cooking apple(焼きりんご)の反対である
- appleは、orchard apple tree(りんごの木)の一部分である
- orchard apple tree(りんごの木)はgenus Malus(マルス属植物)の一種である
のようなことが分かってくる。これによって、「焼きりんご」って「cooking apple」と呼べばいいんだな、と知ることができるわけである。appleをひくことでこれだけのことが分かるのだ。
オープンソースという財産
上述したように、これは、もともとオープンソースの英単語データベースが存在したことから始まる。ちなみに、プリンストン大学のそのオープンソースのデータベース"WordNet"でappleを試しにひいてみると以下のような結果が返ってくる。
WordNet - Princeton University Cognitive Science Laboratory
- (n) apple (fruit with red or yellow or green skin and sweet to tart crisp whitish flesh)
- (n) apple, orchard apple tree, Malus pumila (native Eurasian tree widely cultivated in many varieties for its firm rounded edible fruits)
これを土台にVisuwordsを作ったわけだから、その功績と技術はすごいものだと感服する。人間の感覚を揺さぶるような技術の活用には心から尊敬するし、憧れる。また、同時に、この技術さえもプリンストンのオープンソース化されたデータベースがなければこうやって産み落とされはしなかったことにも注目したい。さすがのPaul R. Dunn氏も、自らが単語データベースを一から作ることには二の足を踏むだろう。そもそも専門分野が違う(と推測する)。
こうして考えてみると、オープンソースという財産は、技術の活用(=アプリケーション)の促進を刺激するものだと言える。「これだけのデータベースが開放されてんだから、あの技術を使えばこんなおもしろいものができるんじゃないか」と。
オープンソースはチャレンジャーを増やす効果がある、そういうことだと僕は考える。
巷ではよく言われていることだけれど、じゃあそのオープンソースを成り立たせるためのビジネスのロジックはどうなのか、ということについては、わりといろんな議論ができるのだと思う。ケースバイケースでは考えられそうな気もするけれど、一般化するほどの頭を僕は持ち合わせていない。しかしその中で、今回のようにアカデミーが寄与できる余地はとても大きいのではないかと思った。
また、そうやって作られたこのVisuwordsは、完全フリーで使える。サイトの説明ではこう書かれている。
Visuwords: online graphical dictionary
- Visuwordsは辞書だし、シソーラス(類義語集)にもなるんだ
- ライター、ジャーナリスト、学生、先生、芸術家、全ての人に最高に役に立つはず
- インターネットに繋がっていればどこでも使える辞書さ
- 会員登録なんて必要ないよ
なんて粋な話だろう。しばらくは、知ってる単語をひき続ける日々が続きそうだ。
りんご、りんご、と書きすぎて…
思い出したのが、椎名林檎の新譜。今日、社員の林檎のbig fanのデザイナーが昼休みにタワレコで買ってきていた。会社で流していたけれど、とても刃の鋭いアルバムだった。併せておすすめ。
追記
- 毎日本当に面白いものを紹介してくれるサイト、100SHIKI.COMでも紹介されていたので、トラックバックを送らせてもらいました。
ぴかり at 00:04 on Feb 21, 2007
初歩的な質問でごめんなさい
オープンソースってなんですか?
なんだかとっても面白いものだということは分かったよ。
K at 00:55 on Feb 21, 2007
そういう質問、ウェルカムです。知らず知らずのうちに、分かりにくいこと書いてることってわりと多いからね。
「オープンソース」っていうのは、「ソースをオープンにすること」です。「ソース」は、「コンピューターシステムやアプリケーションの設計図(プログラム)」のようなものです。本当だったら、その設計図は「財産」だから、他に漏れないように極秘にするわけだけど、それを無償で公開して、誰でもそれを閲覧して使えるようにするのが「オープンソース」だと思ってもらえれば良いと思う。
その結果、クローズドなソースよりも、幅広くいろんな人がそのソースをより良いものに変えていくことが可能になるわけです。
たとえば、Firefoxというブラウザもオープンソースのプロジェクトの一つです。事実、エクスプローラーよりも断然良いブラウザだと思います。使いたかったら、このページ下のリンクを飛べば無料でダウンロードできて使えます。
ぴかり at 09:42 on Feb 21, 2007
説明ありがとうございます。ラーメン屋さんの秘伝スープみたいだね。
早速、Visuwordsを使ってみました。lookとseeを引いてみたり、Japanを引いてみたり。もう止まりません。
意味の連鎖ということを考えると、ここで終わりにしようと考えない限り、ずっと続くような気もします。そして、zoom outしてみれば一つにつながった世界ができていた。
色分けされていて、視覚的に理解しやすいのはとてもよかった。テキストが見やすくなるともっと使いやすいですね。
えむ at 23:49 on Mar 22, 2007
はじめまして、というかお久しぶりというか、どうも「えむ」と申します。(誰だか当ててみてくださいね)
とおりすがりのはずが、所長・・・じゃなかった社長のお名前を見て椅子から転げ落ちるほどビックリしました。通り過ぎることはできず、コメントさせていただきます!!(でもなんだかブログの内容と趣旨が違ってて申し訳ないです、ごめんなさい)
「将来、お互いにビッグになって、世界のどこかの○○○で待ち合わせを」という約束はまだ生きていますか??
私の方は、ビッグになるにはもう少し時間がかかりそうですが、他でもないその○○○で働き始めました。兼業ですが。
毎日新鮮なコーヒーを飲んでいます。
内田樹の「下流志向」は立ち読みされましたか?
ではまた!^-^
さやか at 11:14 on Apr 9, 2007
ネットサーフィンしていてふと巡り合ったこのブログ・・・
最近更新されていないのでさびしいです。
ぜひ更新してくださいね。
楽しみに待っています。
aki at 11:25 on Apr 10, 2007
初めてコメントします。
確かに更新していなくて、さみしいですね。
忙しいんですか~??
一通り読んでみると、ちょっぴりかたいブログで社長の真面目な性格を察しできますね
きーす at 13:41 on Aug 18, 2008
ラーメン屋さんの秘伝スープね
良い響き・・秘伝のソースを公開するみたいな・・
ところで、元気ですか?
TXで新しいことを企画中です
手伝ってもらえると嬉しいのですが・・・
KC at 11:02 on Aug 24, 2008
>きーすさん
元気です。何か手伝いできることがあれば、是非言ってください◎連絡待ってます。




