立ち読みでは済まない本
乾いた深い傷痕 〜アンソニー・キーディス自伝を読んで
trackBacks (0) givenComments (2) Feb 18, 2007
言わずと知れたアメリカの最強ロックバンド、レッドホットチリペッパーズのボーカリスト、アンソニーの自伝の翻訳本がようやく出版された。
原書も立ち読みでパラパラ読んではいたけれど、翻訳本を改めて読んでみて、その恐ろしいほどの内容量に圧倒された。文字の分量ではなくて、彼の生い立ちから「Californication」の大ヒットにいたるまでの多くの悲しみに満ちた傷痕(スカー・ティッシュ)の量に。 そして、さらに驚いたのは、その傷痕を、美化することも呪うこともなく、ただただ平静な瞳で見つめ語っていたことである。
『プロの論理力!』荒井裕樹 〜野心と論理と生きること
trackBacks (1) givenComments (2) Feb 17, 2007
「同世代のライバルは?」と自分の問う時にいつも頭に浮かぶ人がいる。ここで紹介する本の著者である荒井裕樹弁護士である。たしか歳は僕よりも一つ上くらいで、同世代というか、ほとんど「同級生」だ。荒井弁護士は、青色発光ダイオード中村裁判の主任弁護士でよく知られている升永英俊弁護士の元で弁護士キャリアをスタートさせ、その異能をいかんなく発揮させ、28歳で年収一億円を実現させたとのことだ。
もちろん収入だけが問題ではないけれど、その(弁護士としても)並外れた収入が何かを語っていることは想像に難くない。事実、現実に対峙することにおける彼の姿勢は極めてエレガントである。先日の「情熱大陸」の放送での「動く」彼を観ても思ったことだけれど、この本にもそのエレガンスのエッセンスがぎゅうっと詰まっている。テーマは論理力。己の二本の足で立ち、己の二本の腕で社会に立ち向かおうとしているあなたにとっては、10冊買っても元がとれる一冊である。1300円は安すぎる。
遠くに聞こえるWEB3.0の足音 〜『次世代ウェブ グーグルの次のモデル』を読んで
trackBacks (0) givenComments (0) Jan 21, 2007
『グーグルGoogle ー既存のビジネスを破壊する』『ネットVSリアルの衝突 ー誰がウェブ2.0を制するか』など、新書を出すたびに話題をかっさらう佐々木俊尚氏の新書新刊。
本書の内容は、WEB2.0の定義の確認と日本のネット業界におけるWEB2.0的サービスの歴史と分析、そして、それを基に次の「WEB」の可能性を探る、というものだった。これから先のWEBに大きな影響を落としそうなP2Pの件については、このエントリーでは触れないとして、本書でとても興味をひかれたことが三点あった。今週中にでも読むべき本の一つである。
『デザインにひそむ<美しさ>の法則』by 木全 賢(ソフトバンク新書)
trackBacks (0) givenComments (2) Dec 23, 2006
「美しさ」に理屈はあるのか、ということはデザイナーなら誰しも一度は考えたことがあるテーマだと思う。僕なりの答えは、「おそらくあるのだと思う」。
本書は、プロのデザイナーさんよりも、日頃デザインに無意識で接している人に強くおすすめしたい。つまり、デザインに特段の興味を注がない人のことである。デザインに対する興味は、往々にして周囲への注意力を向上させることになる。その結果、こだわりぬいて位置を決めて貼ったトイレのカレンダーは、おそらくあなたのトイレ滞在時間の快適さを増すことになる。デザインは多分人を幸せにするのだと思う。
蜘蛛はどこに巣をはるか 〜『ウェブ人間論』を読んで
trackBacks (2) givenComments (14) Dec 19, 2006
言わずとしてたベストセラー新書「ウェブ進化論」の著者梅田望夫氏と芥川賞作家の平野啓一郎氏の対談を新書の形にしたものが、今回とりあげる「ウェブ人間論」。
様々なブログで、それぞれの方の視点から貴重な書評があがっているから、評するのが苦手な僕は、この本を土台に考えてみたい。ウェブが進化する中で、あるいは進化した結果、人間はどう動くのか、まさにその点について、である。
「ウェブ」は人間という有機的な存在の中のいったいどこに巣づくのであろうか。
『男も知っておきたい骨盤の話』 by 寺門琢巳(幻冬舎新書)
trackBacks (0) givenComments (0) Dec 2, 2006
幻冬舎って新書出してたっけ、、、黄色のカバーの新書群を前にしてぽかんとしてしまった。そう、創刊したらしい。村上龍氏が「5分後の世界」を書いたのが、確か幻冬舎の立ち上げの時だったと思う。あれからまだ10年と少ししか経ってないのに、今では本当に立派な大手の出版社になっている。普通じゃ考えられない成長である。代表取締役の見城徹氏の情熱とその突進力にはとても感銘を受ける。
そんな幻冬舎が新書シリーズを創刊した。一挙に62点の新書が発刊されている。さしあたって買ってみたのがこのエントリーで紹介する「男も知っておきたい骨盤の話」。
「男も知っておきたい」というフレーズにつられてしまったのだけれど、さすがに幻冬舎、誰かに勧めたくなる本である。
キレの悪い会議と冷たいコーヒー
trackBacks (0) givenComments (0) Nov 29, 2006
キレの悪い会議ほど身体に良くないものはない。行き場のないフラストレーションと無駄に費やされる時間、冷めたコーヒー、効きすぎた暖房、長くなる語尾。何一つ良いことはない。
どこの会社でもわりと頻繁に自然発生するこんな悪玉会議を一掃させるための本として、本書をおすすめする。
もちろん、悪玉会議対策のためだけではなく、個人的に「論理的に考える癖をつけたい」とか「いつも散らかる頭を掃除したい」とか、そういうニーズにも応える内容だと思った。
『二十一世紀に生きる君たちへ』by 司馬 遼太郎(世界文化社)
trackBacks (3) givenComments (4) Nov 25, 2006
私が持っていなくて、君たちだけが持っている大きなものがある。未来というものである。
歴史という「過去」を愛し、その偉大さと素晴らしさを己の言葉をもって伝えてきた司馬遼太郎は、こんな風にして二十一世紀を生きる「僕ら」に語り始める。
本書に収録された二作品『二十一世紀に生きる君たちへ』『洪庵のたいまつ』は1989年に小学校5,6年生の国語教科書のために書かれたものである。もちろん平易で柔らかい文体だから子供向けの文章として適しているけれど、書かれている内容は人間の本質にせまる達観を感じさせるものだ。子供に読ませる前にまずは僕らが読まなければいけない。1989年にちょうど「子供」だった「僕ら」のことである。
『壁をブチ破る最強の言葉』by 桜井 章一(ゴマブックス)
trackBacks (0) givenComments (3) Nov 23, 2006
麻雀界のみならず、格闘界からの信望も強い"雀鬼" 桜井章一先生の新刊が出ていたので早速読んでみた。運に左右される(と一般には思われている)麻雀で、裏プロの世界において20年間無敗だったという驚異的な記録を作った方である。
本書では、麻雀についての話題はほとんどなくて、「よりよい生き方」のためのヒントのようなものを「人生の超常識」「仕事の超常識」「社会の超常識」の三つの章に分けて記してある。
心と身体のつながりや"円的生き方"、自然に対する畏敬の念、人間の善悪について、など、哲学的な深みを持つ彼の洞察にはただただ感銘をうけるばかりである。本書においては、わりと広い範囲の内容だったので、共感できない箇所も一部あったけれど、必読の書の一つだと自信を持っておすすめする。本書の中で特に印象的だったのが「小指」についての記述である。
『「関係の空気」「場の空気」』by 冷泉 彰彦(講談社)
trackBacks (0) givenComments (0) Nov 13, 2006
「空気読めよ、まったく。」
確かに途方もない言葉である。「空気」
僕らの国日本では、この「空気」というものの存在感がわりと大きい。そのことを改めて意識させてくれたのが今回取り上げる本。冷泉先生の文章は、メールマガジンJMMで読んだことしかなくて、きっちりまとめた一冊の本を読むのは初めてだったけれど、論点も鋭くて論じ方も極めて誠実だった。
本書では、タイトル通り「空気」について論じている。特に興味深くて良かったのが、論の展開の中心に「日本語」を据えていた点だ。世の中や教育委員会や政治家をなんとなく漠然と「悪い悪い」と不満を言うくらいなら、四時間かけてこの本を読むことを勧める。僕らはもっと強くならなければいけない。「空気」に流されるのではなく、「空気」を掴んで引きずり回さねばならない。
『非対称情報の経済学』by 薮下 史郎 (光文社)
trackBacks (0) givenComments (0) Nov 10, 2006
「神の見えざる手」によって社会的に最適な状態に調節される、というアダム・スミス的市場がなんとなくうさんくさく思えたのは、初めて新古典派経済学を知った時だった。とてつもなく賢い学者たちが構築してきた論を「うさんくさい」というのは甚だ失礼な話だし、的を得るほどのアンチテーゼを思いついたわけではなかったけれど、16歳の僕にはどうも「うさんくさく」思えた。
『感性の起源』by 都甲潔(中公新書)
trackBacks (0) givenComments (2) Oct 28, 2006
エントロピーの法則が適用されるのは、閉じた系であり、さらに構成要素間が相互作用しない平衡状態である場合、らしい。部屋が確実に散らかっていくのは、エントロピーが増大しているわけであるけれど、それは「部屋にドアがある(閉じている)」ことと「ゴミとゴミの間に相互作用は生じないこと」が条件であるわけだ。
『感性の起源』と題された本書は、著者の博識ぶりが随所にあらわれている。その分、まさにエントロピーが増大し、拡散しつづける内容となっている。洋物のこの手の本ではなかなかありえない本書の(拡散しつつ染み渡らせる)構成に、ただただ脱帽してしまう。ちなみに、表題の『感性』とは芸術的な感性とか感受性ではなく、感覚器官の感性のことである。特に、一番あいまいな感覚である味覚にメスを入れている。740円でこんな本が読めるなんて、なんて幸せな時代だろう。
『ウェブ時代のショート・ムービー』by ヒルマン・カーティス|訳 吉田俊太郎(フィルムアート社)
trackBacks (0) givenComments (0) Oct 14, 2006
新生yahoo.comのデザインで知られるウェブクリエーター ヒルマンカーティスの最新本。彼の「映像作家」としての側面にスポットをあてて、映像制作に対する志や手法が詳しく、そして彼らしいユーモアを交えて書かれていた。2 thumbs UPの啓蒙本だった。しかも押しつけがましくない。
『新平等社会』by 山田昌弘(文芸春秋)
trackBacks (0) givenComments (3) Oct 9, 2006
格差社会をどう捉えるか、これはわりと厄介な問題の一つだと思ってる。格差を肯定することも、否定することもどちらも、なんとなく肩身が狭い。平等という概念には、大きく分けて二つあって、「結果の平等」と「機会の平等」だとする。
- 民主主義社会が保証しているものは「機会の平等」であり、現代日本は、非階級社会であることと、教育を受けさせる義務が厳然と存在することで、「機会の平等」は実現されている。それゆえ、市場経済を土台として生まれる「格差」は肯定しなければいかない。こんなことを誰かが言ってるのを聞くと、なんだかうさんくさい気がする。
- また逆に、カール・マルクスの生まれ変わりのような口調で「結果の平等」を説く方々にもちょっと同調できない。運動会から「かけっこ」がなくなったら、為末大は生まれないだろう。
そんなわけで、なんとなくいつも腑に落ちないものを感じてきた格差社会の是非。『希望格差社会』の著者の山田昌弘さんの最近の著作を読んでずいぶんすっきりした。『新平等社会』


